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2002-2003 Final

4回 伊藤杯 シーズンファイナル 
大倉山ナイター・ジャンプ大会

Sapporo

March 29, 2003 (Fri) 18:00

Sapporo
Okurayama K-120

K-Point 120.0m
Meter Value 1.8 pts/m
Jury Distance 138.0 m
Wind : 5.8-0.1 m/s Weather: Snow

Result


Hiroya Saito

02−03シーズン最終戦、大倉山ナイターファイナルは強めの風に小雪が舞い踊る、寒さもやや緩んだ札幌で18時にスタートとなった。

優勝は伊藤杯では初となる葛西。
トレーニングに140mを飛んでW杯クラスの力を見せつけて会場を大いに沸かせ、1本目は129mで一位通過、2本目は船木の140.5mの猛追に合いながらも充分の136mを飛んでかわし、今シーズン有終の美を飾った。
大きな大会に弱いと言われ続けていたが、ヴァルディフィエメ世界選手権の全ての試合でメダルを手にし、W杯でも日本唯一の勝利を獲得、名実ともにエースとなったこの02−03シーズンは彼の競技生活での最大の転機となろう。

2位には西森がはいった。表彰台に立つ姿は新鮮で初々しい喜びに溢れ、ココロを清しくした。

3位は船木。今シーズン、復活!とまでの活躍はならなかったが、この最終戦2本目、天に絶好の風を吹かせ、うっとりするような美しいフライトで140.5mの最長不倒を記録。弾けた喜びがこちらに直に伝わってくるような嬉しそうな表情を見せた。


優勝葛西、2位西森、3位船木


西森 亨平

葛西 紀明

船木 和喜

.

試合後、この日を最後に競技生活にピリオドを打つ選手の恒例の引退式が執り行われた。


斉藤浩哉

長野五輪ヒーローのひとり、斉藤浩哉。彼のラストフライトを見ようとつめかけた例年になく多くのファンの見守る中、90.5m、89.0m、16位の成績で長年にわたるジャンプ競技生活に幕をおろした。

98年長野五輪団体戦、難しい横風を抜群のテクニックで乗りこなし、日本に金メダルをもたらした立役者。95年サンダーベイ世界選手権ではノーマル2位、団体3位、トロンハイム世界選手権では団体2位、W杯では通算2勝と世界のトップを走り続けた。

が、長野直後の練習中に右膝前十字靭帯を断裂。その手術と過酷なリハビリを乗り越えての2000年1月、札幌W杯で3位入賞して「斉藤ここにあり!」の見事な復活を果たす。。
しかし、苦難はそれだけではなかった。その半年後、再びトレーニング中の転倒で今度は左膝蓋腱等3ヶ所を損傷、選手生命の終わりを告げられる大怪我を負うことになる。


25年にも渡る長い競技生活を終えた安崎


野呂田(左)はコーチとなって
今後もジャンプに関わっていく。

しかし斉藤はそれを受け入れることはしなかった。人並みはずれた精神力で、2度にわたる怪我と手術を克服して再び現役に復帰したのだ。

だが、傷ついた体で再三にわたる復帰へチャレンジし続けることの負担は我々が想像しうる以上の過酷なものだったのだろう。その後、思うように成績はあがらず、ついに今シーズン終了前にチームより引退勧告を受け、この日を迎えた。

引退勧告を受けたことは「ショックだった」、しかし清清しい気持ちでこの日を迎えた、という。競技生活で一番の思い出は長野団体の金メダル、そして競技生活を長く続けられたのは、ライバル・友達の存在のお陰と語った。今後は後進の指導に当たる予定。

小雪の舞う夜の大倉ジャンプ台の片隅で、斉藤のラストフライトを目に焼き付けるように必死に見守る小柄な夫人の姿があった。傷を負った体で競技生活を送る中で出会って、恋をし結ばれて、二世も誕生したこの冬、斉藤は家族という新しい支えを得て、第2の人生のスタートを切る。


大倉に最後のコールが響き渡り、凛と張り詰める会場の空気


大勢のファンと対峙するように並ぶ引退してゆく選手たち

長野五輪LHの金メダリスト船木を輩出したデサントスキージャンプチームは3月いっぱいをもって廃部、4月1日より八木弘和コーチ代表「ワールド・スポーツクラブ・シュピッツ」が発足する。所属選手吉岡和也、讃良貴志の二人からスタート。スポンサーを募って活動費を賄うプロのスキージャンプチームとなる。

内地では桜の開花宣言が出されたというのに、まだ白い雪が舞い、人は冬装束、しかし、射す日の光は柔らかい春の色の札幌で、笠谷・八木の五輪メダリストをトップに据えた新体制でのチームジャパン、様々なドラマを織り込んで、その最初の冬が終わった。

 

(了)

© text & photo: Kikuyo Yatabori